針金昆虫の制作担当の安西です。
話がいきなり脱線しますが、最近、Xやインスタに挑戦もしてるので
もしよかったら覗いてみてください。
弊社の活動に関する告知や情報、針金昆虫などの制作過程もアップして行く予定です。
今回のオオカマキリの写真もアップしていますので、ぜひ!
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さて、今回はSNSでも告知している通り、サイエンスアゴラ2024の出展に向けて
1つ針金昆虫作品を制作しました。
モチーフは「オオカマキリ」です。これが本当に曲者で、、、というおはなし。
オオカマキリ(というよりカマキリ目)は本当によく動く。特に鎌が、、、
昔、家の裏の土手でカマキリを捕まえたとき、どこをつかんでも前腕の鎌が回り込んで痛い思いをした、なんて経験をしたのは私だけではないはず。
あの動きを再現するにはどうすればいいんだろうかと思案を巡らす日々でした。
今回の作品に限らず、針金昆虫制作で最も大事な資料はサイエンティフィックイラストレーションです。
科学論文(特に生物系)や図鑑に掲載されている人の手によって描かれた絵です。
普通の絵と何が違うかというと、それは「科学的に正しく」描かれているということ。
いや、名前から分かるわ!と言われてしまいますね。
では、ここでいう科学的とはなんでしょう。
おそらくはいろいろな意見があると思いますが、1つの回答としては、描かれている対象の個体差が排除されているという点だと思います。
写真や写実的な絵ではなく、また全くの抽象的、概念的な絵でもない。
実在する生き物(対象)を描いておきながら、どの個体でもない、つまり、この世に存在しないものを描いているという、何がなんやらというイラストなのです。頭がこんがらがりますね。
さてさて、サイエンティフィックイラストレーションと私の幼少のカマキリと格闘した記憶はなんの関係があるのか。
カマキリが縦横無尽に足を繰り出すさまはカマキリを捕まえようとした方なら誰しも想像できると思います。この「誰しも」と書いた通り、あの自由自在な動きは個体に関係なく、どのカマキリにも共通する体の構造によって可能になっていると自分は考えています。反対に言えば体の構造をしっかりと再現すれば、自分が幼少期の頃攻撃してきたカマキリを想起できるのか、あるいは同じような経験をした方にも、そうそうこうやって攻撃されたよねと共感が得られないかということです。
さらに大きく言うとオオカマキリの共通する部分をすくい取ってオオカマキリらしいカタチ、動きを再現することで誰しもが作品を見てカマキリだと思ってもらえるのかなと。
なので(もちろん標本や実物も観察しますが)科学的に描かれるイラストは自分の作品にとって一番大切な資料になります。
しかしながら、制作過程は地味な作業です。何度も何度もイラストと実物を見比べて、どこの部位がどこにあるのか、それらはどのような関節でつながれているのか、
イラストと実物の対応関係を明らかにしつつ、構造を自分なりに理解していき、頭の中でぼんやり立体的な線を描いていくのです。
そうしていくうちにカマキリは動かすという観点から見るとかなり独特構造だなと思えてきます。本当に曲者。
例えばカマキリはカブトムシといった甲虫に比べて、前足の構造は大きく異なっており、可動域が全く別物であることがわかります。
また中、後足も基節(足の付根)の構造が独特で、獲物を捕獲するときの動きもこれが関係しているのかなと思案したり、
あの動きを再現するにはここが動かないといけない、でもそこが動くと無理が生じるから、、、じゃあ構造の理解が間違ってるのかと、そして振り出しに戻る、、、そんな事を考えながら制作しています。
そしてなんとか完成。
まだまだ力量不足で再現できてないところは多いけど
今回でいろいろ制作テクニックの勉強にはなりました。
ではでは完成写真をお楽しみください。ではまた。